南アルプスの甲斐駒ヶ岳に黒戸尾根経由でテント泊登山
南アルプスには多くの3,000m級の百名山がありますが、最北端にあるのが甲斐駒ヶ岳(標高2,967m)です。甲斐駒ヶ岳はどっしりとした山容でありながら、山頂付近が急峻な形状となっており、見応えと登りがいがある素晴らしい山です。
甲斐駒ヶ岳へアクセスする登山ルートとして、北沢峠経由、黒戸尾根経由の2つがあります(縦走で鳳凰三山からアクセスすることも可能)。北沢峠経由は標高差が約900mで距離が短くて、容易に山頂へアクセスすることができますが、黒戸尾根経由の方は距離が長くて標高差が約2,300mもあり、日本三大急登としても有名な登山ルートです。
私は2023年11月3日(金)から1泊で、黒戸尾根を往復して甲斐駒ヶ岳を登山しました。宿泊したのは、黒戸尾根の7合目にある七丈小屋のテント場です。初日に七丈小屋へテントを張った後に甲斐駒ヶ岳を登頂し、翌日は下山しました。天気も良くて眺めも最高で、素晴らしい山行となりました。
本記事では、黒戸尾根から甲斐駒ヶ岳に登山して、七丈小屋にテント泊した様子をたくさんの撮った写真と一緒に紹介したいと思います。
甲斐駒ヶ岳黒戸尾根の登山口アクセス
甲斐駒ヶ岳に黒戸尾根から登るための登山口は、以下の写真の山梨県北杜市の尾白川渓谷駐車場(約100台、無料)となります。
私が行った11月3日は3連休の初日で、朝6:30くらいに到着しましたが、すでに停まっている車は多かったものの、駐車することはできました。100台ほど停められるので、よほどのことがない限り、満車にならないのかもしれません。
尾白川渓谷駐車場は、地図上では以下のように高速道路の北杜ICから約12.7kmの場所にあります。周辺はキャンプ場、日帰り温泉(尾白の湯)などがあるので、あわせて訪れても良いでしょう。
なお、尾白川渓谷は南アルプスの綺麗な水が流れる川で、いくつもの滝が楽しめる渓谷沿いのトレッキングルートとなっています。甲斐駒ヶ岳だけでなく、尾白川渓谷もおすすめで、私はこれまですでに2回訪れていますが、今回も下山後に散策して楽しみました。
七丈小屋のテント場でテント泊した様子
黒戸尾根は甲斐駒ヶ岳山頂までの距離が長いので、途中に宿泊可能な山小屋の七丈小屋が(標高2,370m)あります。
七丈小屋は南アルプスでは唯一、冬期営業も行う通年営業の小屋です。黒戸尾根の7合目という厳しい場所に位置しながら、冬期営業も行うのは、なかなかすごいなと思います。冬の甲斐駒ヶ岳を訪れる人は相当な強者であまり行く人はいないと思うのですが、それでもやっていけるのですかね。。
七丈小屋テント場の基本情報
七丈小屋テント場の基本情報は以下です。
- 料金:1泊1人平日/日曜日1,000円、土曜/連休1,500円(2025年3月現在の料金)
- 開設期間:年中営業
- 張数:20張
- 予約の要否:不要
- docomo電波:良好
下の写真がテント場受付となる第一七丈小屋、その下の写真の赤い建物が第二七丈小屋で、第一と第二は10m程度離れています。
小屋から少し離れてテント場がある
テント場は、第二小屋から下の写真のような鎖を登って5分くらい歩いたところにあります。小屋へ行くにはこの鎖の上り下りがあるので、それがちょっとした手間でした。
テント場は2段に分かれており、下の写真が1段目(第一テント場)です。
仕切りとかなくただの広場なので、混雑している場合は、隣のテントはかなり至近距離となり、プライベート感はあまりないでしょう。。
以下の写真が2段目のテント場(第二テント場)です。
そして離れ小島のように、下のような小さなスペースもありました。ここは山梨の市街地方面の景色が見える場所で、特等席となります。私が到着した11時ごろには、すでに場所取りされていました。。
テント場のトイレ、水場
テント泊者が使うトイレは第二小屋のそばにあり、水場は第一小屋のそばにありました。いずれもテント場から離れており、わざわざ鎖の上り下りがあるのが、少し面倒でした・・。
下の写真が第一小屋そばの水場です。
私がテント泊した様子
私がテント場に到着したのは11時頃で、その時はかなり空いており、以下のように良い場所が取れましたが、その後ぞろぞろとテント泊する方が到着し、あっという間に満員となりました。
自分のテントから顔を出しても、たいした山の景色も見えず(下の写真のように、遠くに鳳凰三山は見えました)、テント場は混雑していたので、私はスマホを見てだらだら過ごしました。
夕飯はパスタ、朝食はラーメンを食べました。
黒戸尾根から甲斐駒ヶ岳を登山した様子
登山口から黒戸尾根を登って甲斐駒ヶ岳を登頂した様子を紹介します。
黒戸尾根経由の甲斐駒ヶ岳の標準コースタイムは、尾白川渓谷駐車場から登り9時間30分(七丈小屋まで5時間20分)、下り5時間40分です。登りだけで9時間30分は非常に長く、日帰りで往復するのは難しいでしょう。。
登山口から七丈小屋
登山口は、下の写真の尾白川渓谷駐車場です。上でも書きましたが、11月の3連休初日で朝6:30に到着しても車を停めることができました。
グーグルマップの口コミによると、100台程度も停められるため、満車になることはなさそうとのことでしたが、やはり紅葉の時期であったので、多くの人が来ており、8割以上は埋まっていました。
11月初旬でしたが、黒戸尾根下部の方はまだ紅葉が残っており、綺麗な紅葉を楽しみながら歩きました。
冬用の寝袋を担いで歩いたので、荷物はずっしりと重かったです。
黒戸尾根は修験道でもあったようで、下の写真のような祠がところどころに祭ってあり、神聖な雰囲気を感じることができました。
登山口からずっと樹林帯でしたが、下の写真のように刃渡りという痩せ尾根では、展望が開けます。ここは痩せ尾根で危険とされていますが、補助の鎖もあるし、足場もしっかりしており、特に怖くはありませんでした。
それからしばらく歩くと、突然七丈小屋が現れました。意外にもう到着したのか、という感じでした。
ここで受付を行ってテントを張り、少し休憩した後、引き続き山頂を目指しました。
七丈小屋から甲斐駒ヶ岳の往復
七丈小屋から甲斐駒ヶ岳までは、岩場やハシゴ・鎖場の連続で大変ですが、眺めが非常に良くて気持ちよく歩くことができました。
日本百名山だけあってよく整備されており、危険箇所は特になかったと思います。
ただ、急登の連続であったため、冬に歩くとなると厳しいかなと思いました。七丈小屋が年中営業のため、もし冬に来たらどうだろうと想像したのですが、やめておこうと思いました。。
この日は本当に天気が良く、北杜市や韮崎市の市街地まで綺麗に見えました。
山頂が見えてきました。
山頂に到着しました。山頂からは、南アルプスの山々、富士山、八ヶ岳などを眺望することできました。雲ひとつない快晴で、素晴らしい眺めでした。
下の写真は八ヶ岳や秩父方面でしょうか。
下の写真で真ん中奥にあるとんがった山が北岳です。
下の写真は危険な山として有名な、鋸岳方面だと思います。
時間に余裕があったので、山頂から少し下ったところにある摩利支天にも立ち寄ってみました。摩利支天は甲斐駒ヶ岳の脇侍という意味だそうです。
ここには下の写真のように、刀剣が祭ってありました。そして、ここから見た甲斐駒ヶ岳の眺めが素晴らしかったです。
甲斐駒ヶ岳が、目前に迫る大迫力の風景でした。
下の写真は、摩利支天から見た鳳凰三山と富士山です。
圧倒的山容の甲斐駒ヶ岳山頂を見ることができる摩利支天は、時間と体力が余っているなら、訪れた方がよいです。
七丈小屋から下山
七丈小屋でテント泊した翌日は、朝5時ごろに下山開始しました。
刃渡りあたりで朝日が昇る様子を見ることができ、紅葉を照らすのが非常に綺麗でした。
尾白川渓谷を散策
駐車場手前まで降りてくると、尾白川渓谷のトレッキングルートとの分岐があり、時間もあったので寄っていくことにしました。
ちょっとだけ滝と紅葉を楽しんで引き返そうと思っていましたが、結局がっつり最後の不動滝まで行ってしまいました。テント泊の装備を持ったまま、往復コースタイム3時間半を追加で歩き、かなり良い運動になりました。
下の写真は千ヶ淵で、ここまでは軽装の観光客が大勢いました。この先は道が険しくなり、トレッキングルートというより、本格的な登山道といえる厳しいルートになります。。
下の写真が旭滝です。
遠いですが、上から眺める神蛇滝です。水がエメラルドグリーンで、やはり南アルプスの水は綺麗だなと実感します。
最後に大迫力の不動滝に到着しました。
不動滝は大きな岩にロープがかけられており、ここをよじ登ると、間近に滝を見ることができます。
豪快に流れる滝は神々しい雰囲気で、非常に見応えのある滝でした。ここまで来るのに厳しい道のりなので、達成感も感じられました。
まとめ
紅葉の時期の11月3連休に黒戸尾根からテント泊で甲斐駒ヶ岳へ登り、たくさんの絶景を堪能したので、その様子を紹介しました。
長くて急な黒戸尾根経由のテント泊での甲斐駒ヶ岳登山は、憧れていたこともあり、非常に達成感が得られました。そして険しいルート上で年中営業する七丈小屋は、貴重な存在です。
テント泊装備があり、体力に自信のある方は、是非とも黒戸尾根経由の甲斐駒ヶ岳テント泊登山をおすすめします。