
谷川岳西黒尾根で雪洞ビバーク訓練をした
2009年4月4日から1泊で、谷川岳の西黒尾根で雪洞のビバーク訓練をしました。17年も昔の記録のため、記憶を呼び起こしながら書いています。細かい部分は曖昧ですが、当時の体験を思い出しながらまとめました。
この訓練は山岳会の先輩と2人で行いました。雪山登山では、悪天候や予期せぬトラブルで行動不能になった場合に備えて、緊急ビバーク(緊急野営)の技術が必要です。雪洞はその重要な手段の一つで、実際に掘って一晩過ごすことで、雪洞の作り方や中での過ごし方を身をもって学ぶことができました。
西黒尾根について
谷川岳・西黒尾根とは
谷川岳は群馬県と新潟県の県境にそびえる標高1,977mの山で、日本百名山の一つです。西黒尾根は谷川岳へ登る代表的なルートの一つで、急登が続く体力勝負のルートとして知られています。 夏山シーズンは多くの登山者で賑わいますが、冬から春にかけての残雪期は積雪量が多く、雪山登山の経験が必要なルートとなります。4月でもまだ雪洞を掘れるくらい十分な積雪が残っていました。
登山の様子
登山口から雪洞を掘る場所まで
登山口を出発し、西黒尾根のルートを登っていきました。この時期は雪が多く、アイゼンを装着して登る必要がありました。


登り始めてすぐに急登が続き、雪の斜面を登っていく形になります。体力を削られますが、周囲の雪景色が美しく、登山そのものも楽しめました。
下の写真のように、谷川連峰の山々が綺麗に見えました。


登山口から2〜3時間ほど登ったところで、雪洞を掘るのに適した場所を見つけました。斜面の雪が深く、しっかりと固まっているポイントを選びました。
雪洞を掘る作業
雪洞を掘る作業は想像以上に大変でした。スコップを使って雪を掘り出していくのですが、固く締まった雪を崩しながら内部空間を作っていくのは重労働です。
休みながら、少しずつ掘り進めていきました。 入口を狭くして内部を広くすることで、冷気が入りにくく暖かい空間を確保できます。また、天井はドーム状にすることで崩れにくくなります。細かいコツを先輩から教わりながら、なんとか人が寝られるくらいの雪洞が完成しました。


雪洞での一晩
雪洞の中は意外と快適だった
完成した雪洞の中に入ってみると、予想以上に快適でした。外の風がまったく入ってこないため、雪洞の中は静かで穏やかです。外気温がマイナスでも、雪洞の中は0度前後で安定しており、テントよりも暖かく感じました。
雪洞の中ではツェルト(簡易テント)にくるまって寝ましたが、意外にもしっかり寝ることができました。もちろん快適とは言えませんが、緊急時にこれだけ寝られるなら十分だと感じました。

雪洞内をろうそくで照らした
夜、雪洞の中をろうそくで照らしてみると、雪の壁に灯りが反射して幻想的な雰囲気になりました。オレンジ色の柔らかい光が雪洞全体を包み込み、なんとも言えない落ち着いた空間でした。厳しい訓練の中でも、こういった小さな楽しみがあるのが山の魅力だと感じました。

翌朝、雪洞から出ると外は曇り空でしたが、視界は良好で周囲の山々を見渡すことができました。一晩無事に過ごせたことで、雪洞ビバークをやることへの障壁が少し下がった気がしました。
雪洞訓練から学んだこと
スコップとツェルトの重要性
今回の訓練を通じて、雪山登山ではスコップとツェルトが必需品だということを身をもって理解しました。悪天候で停滞を強いられた場合や、予期せぬアクシデントで行動不能になった場合、雪洞を掘れるかどうかが生死を分けることもあります。 ただし、スコップは嵩張るし重いのが難点です。。軽量化を重視する登山者にとっては、持ち運びが負担になります。実際、ピッケルでも雪洞を掘ることは可能ですが、時間と体力がかなりかかるため、可能であればスコップを持っていく方が安心です。

雪洞ビバークは選択肢として持っておくべき
雪洞ビバークは、雪山登山における重要な緊急手段の一つです。実際に掘って一晩過ごしてみることで、その有効性と限界を知ることができました。いざという時に慌てないためにも、事前に訓練しておくことが大切だと感じました。
まとめ:雪洞訓練は雪山登山者にとって貴重な経験
谷川岳西黒尾根での雪洞ビバーク訓練は、17年前の記憶ですが、今でも鮮明に覚えている貴重な体験でした。 雪洞の中は風が入らず意外に快適で、ツェルトにくるまって意外にもしっかり寝ることができました。ろうそくの灯りで照らされた雪洞の雰囲気も忘れられません。 雪山登山をする方にとって、雪洞ビバークの技術は持っておくべき選択肢の一つです。スコップとツェルトの重要性を学んだこの訓練は、その後の雪山登山に大いに役立ちました。