- 冬の天狗岳(北八ヶ岳)は雪山初級~中級で登りやすい
- 天狗岳の登山ルート
- 稲子湯近くの駐車場から黒百合ヒュッテまで歩いた様子
- 黒百合ヒュッテでテント泊した様子
- 黒百合ヒュッテから天狗岳をピストン登山
- まとめ
冬の天狗岳(北八ヶ岳)は雪山初級~中級で登りやすい
北八ヶ岳にある天狗岳(標高2,646m)は、南北にのびる八ヶ岳連峰の中間あたり位置しています。日本二百名山に選定されており、夏は多くの登山者が登りますが、雪が積もる冬にも多くの登山者が登ります。
雪山登山としての難易度で言うと、初級から中級とされており、初級の雪山に慣れた後のステップアップとしてよく登られています。山頂手前は傾斜がきついため12本爪アイゼンとピッケルが必要で、山頂あたりに強風が吹き荒れるので、本格的な雪山であることを感じさせてくれるでしょう。
天狗岳近くには冬でも営業している山小屋の黒百合ヒュッテがあり、天狗岳の冬山登山拠点として利用できるので、雪山登山する環境は整っているといえます。
2023年4月に雪山登山した
私は2023年4月8日から1泊で、黒百合ヒュッテにテント泊して天狗岳に登りました。
4月はすでに春ですが、八ヶ岳はまだまだ冬で、しっかりと雪が積もっており、雪山の景色を存分に堪能できました。特に私が登頂したタイミングは気象条件が良く、天狗岳山頂から見た、赤岳や硫黄岳などの南八ヶ岳方面の山々の景色は、ここはヒマラヤではないか?、と感じられるくらい素晴らしいものでした。
本記事では、黒百合ヒュッテにテント泊した様子と、天狗岳に雪山登山した様子を紹介したいと思います。
天狗岳の登山ルート
天狗岳の登山ルートはいくつかありますが、冬によく歩かれるルートは限られており、登山口から最も近い一般的な雪山登山ルートと、少しマイナーな私が歩いたルートを解説したいと思います。
一般的な雪山登山ルート
冬の天狗岳登山は渋の湯または唐沢鉱泉から登るルートが一般的で、短時間で山頂まで行けるため日帰り登山も可能です。
渋の湯から出発して東天狗岳を往復する場合の標準コースタイム(夏)は以下です。
- 渋の湯~黒百合ヒュッテ:2時間30分
- 黒百合ヒュッテ~東天狗岳:1時間30分
- 東天狗岳~黒百合ヒュッテ:1時間
- 黒百合ヒュッテ~渋の湯:1時間45分
唐沢鉱泉から出発する場合は、西天狗岳から東天狗岳を登頂後、黒百合ヒュッテ経由で下山する周回ルートを歩けます。周回なので、西天狗岳と東天狗岳の両方を登ったうえ、黒百合ヒュッテにも立ち寄れます。
- 唐沢鉱泉~西天狗岳:2時間35分
- 西天狗岳~東天狗岳:20分
- 東天狗岳~黒百合ヒュッテ:1時間
- 黒百合ヒュッテ~唐沢鉱泉:1時間25分
私が登ったルート(稲子湯~黒百合ヒュッテ~天狗岳)
私が登ったルートは、八ヶ岳東側の稲子湯をスタートするルートです。冬季はマイナーなルートかもしれません。
しかし、八ヶ岳東側なので私の家からの交通費が安く済み、さらに、駐車料金もかからないため、メリットあります(渋の湯は1,100円/日かかる)。
また、稲子湯からだとコースタイムが少し長く、日帰り登山だと難しくなり、結果的に黒百合ヒュッテで私の好きなテント泊を楽しめることとなります。
私が歩いたルートの標準コースタイム(夏)とルート図は以下です。
- 稲子湯~黒百合ヒュッテ:2時間30分
- 黒百合ヒュッテ~東天狗岳:1時間30分
- 東天狗岳~西天狗岳:20分
- 西天狗岳~東天狗岳:20分
- 東天狗岳~黒百合ヒュッテ:1時間
- 黒百合ヒュッテ~稲子湯:1時間45分
稲子湯近くの駐車場から黒百合ヒュッテまで歩いた様子
稲子湯近くの駐車場には車が結構停まっていましたが、ここから本沢温泉にも行けるので、そっちへ行く登山者が多いようでした。
歩き始めは全く雪がなかったですが、途中から出てきました。
みどり池前にあるしらびそ小屋に到着しました。
しらびそ小屋あたりまでは登山者多かったですが、そのあと黒百合ヒュッテ方面へ向かう分岐へ入ると、ほかの登山者は全くいなくなりました。雪のトレースも薄くなり、割と急な斜面を適当に登っていくと、中山峠に到着しました。
アイゼン、ピッケル、雪山テント泊装備を持っているため荷物が重く、この区間の急斜面は体力を結構奪われました。。
中山峠は、4つのルートに分岐する場所となっています。
中山峠からは5分ほどで黒百合ヒュッテへ到着しました。
天気がどんよりとしていますが、晴れ予報の翌日に天狗岳登山する予定なので問題ありません。
黒百合ヒュッテでテント泊した様子
黒百合ヒュッテのテント場とテント泊した様子を紹介します。テント場の基本情報は以下です。年中営業なのはありがたいです。
- 料金:1泊1人1,500円
- 開設期間:年中営業
- 水場:あり
- トイレ:あり
- 張数:50張
- 予約の要否:不要
- docomo電波:テント場からは入りませんでした
テントサイトの様子
黒百合ヒュッテのテントサイトは、小屋の前の広場にあります。50張まで張れるとのことですが、雪があるせいか、そこまで広くは感じませんでした。
春なので、雪どけ水が流れ始めていました。
トイレ
テント場のトイレは、小屋の宿泊者用トイレと共用となっており、中は暖かく非常に清潔に保たれた立派なものでした。
水場
水場は小屋の中のポリタンクで汲むようになっていました。
4月なのでそこまで寒くなかった
下の写真は私が張ったテントです。冬だけかもしれませんが、テントを張れる場所は限られており、隣のテントとの間隔は狭くてプライベート感はあまりありませんでした。。
雪が残っていますが、4月なので夜もそこまで寒くはありませんでした。
夕食はレトルトパスタ、朝食はインスタントラーメンを食べました。
私が到着したときは空がどんよりとしていましたが、夕方には晴れ間が見え始め、翌日の快晴に期待が持てました。
黒百合ヒュッテから天狗岳をピストン登山
翌朝は天狗岳をピストン登山し、そのあとテントを撤収して下山しました。
雲と朝焼けの景色が綺麗
朝5時半頃に歩き始めたのですが、薄雲と朝焼け、そして雪をかぶった木々や山々の幻想的な風景が素晴らしかったです。たまたま良いタイミングで見ることができた絶景です。
薄雲はだんだん晴れていっているようなので、山頂からの景色に期待が持てました。
強風の中、東天狗岳へ登頂
山頂に近づくにつれて、風がどんどん強くなってきました。私は10年くらい前に冬の天狗岳に登ったことがありますが、今回も相変わらず強かったので、毎度のことなのでしょう。
登山道から振り返ると、雪をまとった山と薄雲のコンビネーションが素晴らしい景色でした。
山頂に近くなってきて、このへんは急傾斜で少し怖かったです。やはりこの山は、冬はピッケルは必要だなと思いました。
東天狗岳の山頂に到着しましたが、風が強いのであまり長居したくない感じでした。。
当初東天狗岳で引き返そうと思っていましたが、西天狗岳方の立派な山容を見ると登りたくなって、行ってみることにしました。
西天狗岳からはヒマラヤみたいな絶景だった
西天狗岳は、東天狗岳からいったん下って登りますが、コースタイム20分の距離でそこまで遠くないです。鞍部へ下ると、なぜかさっきまで吹いていた強風が完全に止んで、穏やかになりました。どうも風が強いのは、東天狗岳だけのようです。
緩やかな斜面を登って西天狗岳山頂に到着しました。
山頂は広くてゆっくりでき、南八ヶ岳の山々にかかる雲が晴れていくのを待ちました。ここからの眺めは本当に素晴らしく、赤岳や硫黄岳などの山々が、まるでヒマラヤの雪山を彷彿とさせる景色でした。
下の写真は、薄く雲がかかる赤岳と阿弥陀岳かなと思うのですが、威厳があって迫力ある雪山の景色に感動させられました。
北アルプスに行かなくても、八ヶ岳でここまでの景色が見られるとは、正直八ヶ岳を侮っていました。冬はやっぱり八ヶ岳で雪山登山がいいですね。
山頂でゆっくりしていると、すっかりと雲がとれました。
再び東天狗岳山頂を経由して黒百合ヒュッテまで下山
ずっと見ていたい景色でしたが、山頂を後にして再び東天狗岳経由で、黒百合ヒュッテまで下山しました。
登る時にかかっていた雲は晴れていましたが、雲がかかっている景色の方が幻想的で良かったです。
快晴の黒百合ヒュッテのテント場風景
黒百合ヒュッテまで戻ってくると、どんよりしていた前日の風景と打って変わり、快晴のテント場風景を見ることができたので、写真を載せておきます。
下の写真で黄色いテントのあたりが、冬のテントサイトとなります。黒百合ヒュッテは50張まで張れるとのことで、もしかすると夏はここ以外のスペースも使えるのかもしれません。
テントを撤収し、無事に稲子湯近くの駐車場まで下山しました。
まとめ
黒百合ヒュッテでテント泊して、天狗岳に雪山登山をしたので、テント泊と登山の様子を紹介しました。
4月なので冬というより春登山ですが、天狗岳は完全に雪山で、傾斜もきついので油断すると危険だと思います。この厳しい雪山も、黒百合ヒュッテを利用することで短時間で往復でき、雪山初級~中級登山として楽しむことができるので、是非とも小屋泊、テント泊したいものです。
また、天狗岳山頂からの眺めはヒマラヤを彷彿とさせる、心に残る風景を見られるので、雪山登山を始めてステップアップしたい方は行ってほしいなと思います。