
奥秩父は地味だが雰囲気が良い
奥秩父は東京都、埼玉県、山梨県に広がる、標高2,000m程度の山々が連なるエリアです。比較的首都圏からアクセスがしやすく、冬でもアルプスほど多くの雪が積もらないため、年間を通じて登山者が訪れます。
私が感じる奥秩父は、地味だが雰囲気が良いイメージです。
標高2,000m程度だと森林限界に達しないので、登山道は主に鬱蒼とした樹林帯の中となり、北アルプスなどと比較して、どうしても地味なイメージとなりやすいです。しかし、日陰で育った木々や植物の雰囲気が独特で絵になり、神秘的な印象さえあります。なんというか、昔からそこにある太古の山という感じがして、苔がよく似合います。
例えば、下の写真は雁坂嶺あたりの枯れ木群ですが、非常に独特な雰囲気を醸し出しているのが分かると思います。

下の写真は、縦走路から少し外れた、登山者が少ない和名倉山の山頂付近です。カラマツがびっしりと高密度に林立する様子は絵になります。

奥秩父を登山するなら主脈の縦走が魅力的
奥秩父は縦走登山ができ、特に、瑞牆山から雲取山を結ぶ約50kmの尾根を奥秩父主脈縦走路と呼び、道中は登山道、山小屋や避難小屋が整備されています。奥秩父を登山するなら、是非縦走登山をして奥秩父らしさを味わうのが良いと思います。
今回調べながら初めて分かったのですが、奥秩父主脈縦走路は雲取山から甲武信ヶ岳までと思っていましたが、雲取山から瑞牆山までだそうで、かなりの長距離です。。雲取山から甲武信ヶ岳の間はよく歩きますが、それより西側はあまり歩いていないので、今度行ってみようと思いました。

奥秩父を縦走する時に便利なテント場を5つ紹介
奥秩父主脈縦走路のルート(雲取山から瑞牆山)は、以下の地図のようになっています。
私はこれまで奥秩父主脈縦走路を部分的に何度か歩き、今のところ7割くらいのルートを踏破したところです。奥秩父へ行く際は縦走登山をするため、日帰りではなく毎回テント泊登山で行っています。
奥秩父主脈縦走路沿いには、テント場が以下の8つありますが、私が泊まったことあるのは1~5のテント場です。6と7のテント場は、今回調べて初めて存在を知ったので、今度行ってみようと思います。
- 雲取山荘 テント場
- 将監小屋 テント場
- 笠取小屋 テント場
- 雁坂小屋 テント場
- 甲武信小屋 テント場
- 大弛小屋 テント場
- 大日小屋 テント場
- 富士見平小屋 テント場
この記事では、私が実際に行って泊まったことのある、雲取山~甲武信ヶ岳の5つのテント場について、テント場の基本情報、泊まった様子や感想をまとめたいと思います。
1. 雲取山荘テント場
雲取山荘は、雲取山山頂から秩父側へ下ったところにあり、山荘のそばにテント場があります。山頂までの標準コースタイムが上り30分、下り20分です。
雲取山荘テント場の基本情報は以下です。
料金:1泊1人1,500円(2025年4月現在)
開設期間:年中
張数:30張
予約の要否:不要
水:小屋で2Lもらえました(冬季のみで夏は水場あり)
トイレ:山小屋脇にあり
docomo電波:わずかに入る
私が雲取山荘テント場へ行ったのは2022年12月29日で、秩父の三峰神社から登りました。積雪があったので雪山登山となりました。
雲取山へ登るには奥多摩側と秩父側の登山道がありますが、雲取山荘は秩父側の登山道に位置しています。秩父側登山道の方は樹林帯に囲まれており、少し鬱蒼とした雰囲気がある中に雲取山荘は建っています。
日があまり当たらない場所なので、もう少し明るい雰囲気でテント泊したいなあとは思いました。。
とはいえ、雲取山は登山口から距離が長いので、この位置にある山小屋とテント場は非常に貴重です。

私が行った時は冬なので水道は凍結しており、水場はありませんでしたが、山荘で受付時に水を2Lもらいました。これ以上必要な場合も、言えばくれそうな雰囲気でしたが、受付へ行くのが面倒だったので、足りない分は雪を融かして水を作りました。

テント場は山荘横にあり、細長く広がっていました。スペース的にそこまで広くなく、雪が積もった日はどこまでがテント場なのかよくわからず、張数は最大30張とのことですが、雪の時期はせいぜい10張程度かなと思いました。実際テント泊している人は少なかったので、問題なかったです。

下の写真は私のテントです。夜は非常に寒かったです。。

雲取山荘テント場は雲取山登山のために便利な場所に位置しており、少し鬱蒼とした雰囲気を持っていますが、快適にテント泊できました。


2. 将監小屋テント場
将監小屋テント場は、奥秩父主脈縦走路の飛龍山と笠取山の間に位置しています。山小屋から近い場所に有名な山の山頂はなく、あえて言うなら二百名山の和名倉山ですが、これも小屋から結構遠い場所にあります。
ロケーション的に微妙ですが、主脈縦走路上に位置しており、また、奥多摩側の一ノ瀬高原民宿みはらし)から短時間(標準コースタイム2時間10分)でアクセスできます。また、静かで奥秩父らしい雰囲気を大いに感じることができるので、気持ちよくテント泊できると思います。
将監小屋テント場の基本情報は以下です。
料金:1泊1人1,000円(2025年4月現在)
開設期間:年中(山小屋営業は4月下旬〜11月上旬)
張数:50張
予約の要否:不要
水:小屋横に沢が流れている
トイレ:山小屋脇にバイオトイレあり
docomo電波:全く入らない(山の神土まで行くと使えた)
私が行ったのは2024年11月29日で、和名倉山登山と笠取山への縦走目的でした。初日にテントを張った後に和名倉山をピストン登山し、翌日は笠取山まで縦走して下山しました。
下の写真が将監小屋で、この日はすでに営業を終えており、管理人不在でした。テント泊のためにお金を払おうと思ったのですが、料金箱もなかったので、そのままテント場を使わせてもらいました。

トイレはセンサーライトが備わった立派なバイオトイレですが、そちらも利用可能でした。

水場は、そばを流れる沢からじゃんじゃん水が出ており、ありがたく使わせてもらいました。

テント場は以下のように段々となっており、ここから山梨の山々が見えるのが良かったです。遠くの山を眺めながらテント泊できたので、開放感がありました。


テントが張れるように平坦に整地されており、快適に炊事もでき、快眠できました。

泊まった日に和名倉山を往復してきましたが、鬱蒼とした奥深い雰囲気で、奥秩父らしさを大いに味わうことができました。


3. 笠取小屋テント場
次に紹介するのが笠取小屋テント場ですが、ここは奥秩父主脈縦走路の笠取山と雁坂峠の間に位置します。眺めが良い笠取山の山頂まで近く、また、奥多摩側の作場平駐車場から短時間で登ってくることができるので、利用者は多いと思います。
笠取小屋テント場の情報は以下です。
料金:1泊1人1,000円(2025年4月現在)
開設期間:年中(山小屋営業は4月下旬〜1月上旬)
張数:80張
予約の要否:不要
水:あり
トイレ:テント場横にあり
docomo電波:つながらない
私が利用したのは17年前の2008年で記憶もあまりないので、先日将監小屋に泊まった時(2024年11月30日)の写真を紹介します。
下の写真が笠取小屋ですが、冬季なのにまだ営業していました。正月まで営業するそうです。この日は天気が良く、笠取山へ向かう登山者が続々と登ってきていました。

下の写真は小屋の前およびテント場横にあるトイレで、通過する人も利用できるようになっていました。

テント場は小屋の向かいの広場か、小屋の裏手に張るスペースがありました。80張までいけるので割と広いと思います。
下の写真は小屋の向かいにある、テント場の広場です。

小屋から約1時間で笠取山の山頂まで行くことができ、下の写真のような絶景を見られるので、主脈縦走目的でなく、笠取山登山目的で行ってテント泊するのもおすすめです。



4. 雁坂小屋テント場
雁坂小屋テント場は、奥秩父主脈縦走路の雁坂峠と甲武信ヶ岳の間にあります。雁坂峠には縦走路からだけでなく、秩父と山梨からも登ることができ、便利な中継地点として多くの登山者がいます。小屋から少し登ったところにある雁坂峠からは、富士山をバックにした奥秩父の絶景が最高です。
雁坂小屋テント場の基本情報以下です。
料金:1泊1人1,500円(2025年4月現在)
開設期間:年中(山小屋営業は4月末から11月末)
張数:30張
予約の要否:不要
水:小屋横(冬は約1km秩父側の沢へ汲みに行く)
トイレ:あり
docomo電波:良好
私が行ったのは2023年6月17日で、天気が良い新緑の季節で気持ちよくテント泊できました。木々に囲まれていますが、間から少しだけ遠くの山が見えました。

トイレの建物は、下の写真のように登山道が貫通しています。。

水場は小屋のそばにありました。夏場は水を小屋まで引いてくれていますが、冬はなく、秩父側に約1km歩いたところにある豆焼き沢まで汲みに行く必要あります。

テントは下の写真のように樹林帯に張りますが、日当たりが良くて気持ち良いテント場でした。新緑の季節で多くの登山客がテントを張っていました。


下の写真は富士山をバックに雁坂峠を見下ろした風景ですが、奥秩父の山深さを表す素晴らしい光景だと思います。

雁坂峠から少しを足を延ばして古礼山も行ってみました。この辺を歩く人は少なく、静かに山歩きを楽しめました。


5. 甲武信小屋テント場
最後に紹介する甲武信小屋テント場は、百名山の甲武信ヶ岳山頂近くにある甲武信小屋併設のテント場です。小屋から山頂まで往復約35分で行けるので、便利なロケーションにあります。
甲武信ヶ岳は奥秩父主脈縦走路の中でも、最も人気で登り甲斐のある山だと思うので、小屋を利用して是非とも訪れたいものです。
甲武信小屋テント場の基本情報は以下です。少し面倒ですが、事前に電話予約が必要なので注意が必要です。
料金:1泊1人1,500円(2025年4月現在)
開設期間:4月末~11月末
張数:30張
予約の要否:必要
水:小屋横の水道
トイレ:小屋横にあり
docomo電波:入らない
私が泊まったのは2024年11月23日で、翌日が2024年最後の営業日でした。11月というのにすでに積雪があり、テント場は寒かったです。。
樹林帯に囲まれ、テント場からの眺めはよくないのが残念でした。ただ少し歩くと甲武信ヶ岳や木賊山の山頂へ行けるので、問題ないでしょう。

トイレは小屋横にありました。トイレは山小屋とつながっているようで、中は暖かかったです。

水場は水道から出るようになっていました。積雪はありましたが、凍結はしていないようで使えました。

この日は下の写真のように雪上テント泊でした。

端っこに雪がない場所があったので、私はそこに張りましたが、やはり地面から冷気が伝わり、寒いテント泊でした。


甲武信ヶ岳山頂からは富士山の眺めが素晴らしかったです。
山頂にはすぐ行けるので、宿泊して日暮れや日の出を見に行くとよいと思います。



まとめ
奥秩父主脈縦走路(雲取山~甲武信ヶ岳)にある5つのテント場の特徴と泊まった感想をまとめました。
奥秩父では、北アルプスのテント場より料金が安く、混雑もしておらず、静かにテント泊を楽しめると思います。ただ、眺望がないテント場ばかりなので、そこが微妙な点だと思います。唯一、眺めが良い将監小屋のテント場は貴重でしょう。
5つのテント場は、いずれも奥秩父の山深さが感じられる味わいのあるテント場ばかりだと思うので、奥秩父主脈縦走する際、もしくは秩父や奥多摩方面から登る際は、テント泊をして奥秩父らしさを体感してみることをおすすめします。