将監小屋にテント泊をして和名倉山と笠取山に登った
奥秩父の山々は、たくさんの木々に囲われて鬱蒼とした雰囲気で、苔がよく似合うイメージで独特の雰囲気を持っています。雲取山~瑞牆山までの奥秩父主脈縦走路を歩くと、展望がきく場所からは富士山を望むことができるのも特徴です。
その奥秩父の山々のうち、独特の雰囲気を持つ和名倉山と、富士山の眺めが素晴らしい笠取山を、晩秋に将監小屋でテント泊して登ってきました。
登山ルートは作場平からの周回登山
私が行ったのは2024年11月29日からの1泊で、作場平駐車場(山梨県甲州市)を出発し、将監小屋、和名倉山往復、笠取山を経由する周回ルートでした。
登山ルート図は以下の通りです。
初日は和名倉山に登って奥秩父らしさを感じ、眺めが良い将監小屋で快適なテント泊をして、翌日は笠取山からの富士山、雁峠からの絶景堪能をしました。
本記事では、将監小屋にテント泊した様子と、和名倉山と笠取山を登山した様子を紹介したいと思います。
将監小屋にテント泊した様子
将監小屋へ行くには、作場平駐車場を出発してまずは林道を歩きました。
ちなみに作場平駐車場の場所は以下で、丹波山村の国道411号から林道へ入ってしばらく進んだところにあります。なかなか奥まった場所が登山口です。
車も走る林道を歩いて、登山口となる民宿みはらしへ向かいました。
民宿みはらしに到着後、登山道歩きとなります。民宿みはらしでは有料(1日500円)の駐車場もあるようで、和名倉山のみ行くなら、ここから出発してもいいかもしれません。
将監小屋までの登山道は車も通れる林道のような道で、歩きやすかったです。実際、将監小屋にも車が停まっていたので、許可された車のみ通行可能なのでしょう。
将監小屋に到着しました。民宿みはらしからのコースタイムは2時間10分と短めなので、テント泊の重い荷物を持っていても、少しの労力で済みました。
将監小屋テント場の基本情報は以下です。
- 料金:1泊1人1,000円(2025年4月現在)
- 開設期間:年中(山小屋営業は4月下旬〜11月上旬)
- 張数:50張
- 予約の要否:不要
- 水:小屋横に沢が流れている
- トイレ:山小屋脇にバイオトイレあり
- docomo電波:全く入らない(山の神土まで行くと使えた)
山小屋は11月上旬で営業終了とのことで、私が行った11月29日は管理人不在でした。テント場の料金箱もなかったので、そのまま使わせてもらいました。他の利用者はおらず、独占状態でした。
テント場は段々になっている
将監小屋のテント場は斜面を段々状にして、各段が整地されています。
斜面を上がっていくと将監峠があります。下の写真は小屋を少し上がったところから見下ろしたものです。
オレンジ色のテントが私のテントです。
斜面の各段は平らに整地されているため、斜めで寝づらいということはありませんでした。
テント場から大菩薩嶺方面の山々の眺めが良い
テントサイトからは山梨の大菩薩嶺方面の山々の眺めが、このテント場の良さです。奥秩父のテント場は樹林帯に囲われて眺めが良くないところがほとんどですが、将監小屋テント場は開けており、眺めが良いです。
立派なバイオトイレ
トイレは立派なバイオトイレで、センサーライトまで備わっており、素晴らしかったです。ありがたく使わせてもらいました。
水場
水は小屋横に設置されたパイプからじゃんじゃん出ており、冷たくておいしかったです。
テント場でくつろいだ
テント場は私1人だったので、広々快適に過ごすことができました。
この日は、テントを張った後に和名倉山の往復登山をしたので、疲れていたのですが、ゆっくりとくつろぐことができました。ここは電波が全く届かないので、スマホをだらだら見ることなく過ごしました。
夕ご飯はパスタ、翌朝はラーメンを食べました。
将監小屋から日帰りで和名倉山を登山
テント泊初日、将監小屋にテントを張った後、和名倉山の往復登山をしました。
和名倉山は、奥秩父主脈縦走路から離れた場所で訪れる登山者も少なく、樹林帯に囲まれて鬱蒼としていますが、秘境的な雰囲気とどっしりと山容で、隠れた名峰です。日本二百名山にも選ばれています。
将監小屋から和名倉山のコースタイムは、行き3時間50分、帰り3時間25分と、割と長丁場です。私は昼前に出発して夕方16時過ぎに戻ってきました。
将監小屋を出発すると、下の写真のように将監峠へ到着します。
将監峠からさらに歩を進めると山ノ神土という場所に到着し、笠取山と和名倉山方面に分岐しています。
将監小屋や将監峠ではdocomoの電波がまったく届きませんでしたが、なぜかここはよく届いていました。
山の神土を過ぎると、いきなり藪っぽいルートになり、かき分けながら歩きます。
しばらく歩くと、開けた場所に出ます。遠くに富士山も見えることもあり、このへんは気持ち良く歩くことができました。
私は以前2度ほど秩父方面から和名倉山へ登っていますが、そっちの方は、全く展望がきかないので、将監小屋側からのルートの方がいいですね。
雲多めですが、富士山と奥秩父の山々が綺麗でした。
登山道はほとんど、下の写真のような樹林帯の中で、ルートが分かりにくい場所もあり、たまに迷いそうになりながらも、よく見れば問題ありませんでした。
和名倉山は苔がよく似合う山でした。
もくもくと長い道のりを歩き、和名倉山山頂と秩父方面への分岐に到着しました。
そこから少し歩くと山頂に到着しました。山頂は木々の中で、眺望は全くありません。薄暗くて怖いくらいの雰囲気です・・。
千代蔵休ン場はなくなっていた・・
昔和名倉山へ登った時、山頂付近に"千代蔵休ン場"という開けた場所があり、そこでテント泊をしたことがあります。しかし今回行ってみると、あるはずの千代蔵休ン場はありませんでした・・。
下の写真の木が並んでいる場所が、昔はただの斜面で、そこから遠くの眺めが良かった記憶があります。
なんでなくなったのかと後で調べてみると、どうやら植林をしたとのことです。秩父側から登った場合、唯一の展望ポイントだったのに、残念です・・。
山頂近くの水場を探して発見
山頂から将監小屋へ戻る時、和名倉山山頂付近の水場を探してみました。登山地図に水場のマークがあって気になっており、以前行ったときはみつけられず、今回改めて探してみたところ、発見できました!
水場には、登山道で下の看板があるあたりで、東の方へ分け入っていきます。
非常に薄い踏み跡をしばらく辿っていきます。踏み跡はたくさんあって迷いやすく、できるだけまっすぐ東へ進むようにしました。
すると、水の流れる音がして、みつけました。気になっていた水場をみつけることができたのは、大きな達成感がありました。
将監小屋へ戻った
それから将監小屋まで、来た道を戻りました。
11月末は日が暮れるの早く、15時過ぎには日が暮れ始めてきたので、急ぎめに歩きました。無事に暗くなる前に山の神土に到着しました。
翌日は笠取山まで縦走
将監小屋でテント泊した翌日は、笠取山、笠取小屋を経由して作場平へ下山しました。
まだ暗い5時頃の早朝に出発し、奥秩父主脈縦走路を歩いて笠取山へ向かいました。初冬らしく、寒いけど天気の良い日で、朝焼けが綺麗でした。
途中唐松尾山を経由しましたが、ここは特に眺望ありませんでした。
樹林帯の稜線をしばらく歩くと、展望が開けて笠取山の東峰に到着しました。この辺りからは、大迫力の富士山が目に入るようになり、素晴らしい眺めでした。その美しさに、富士山は登るより、遠くから眺める山だなと実感しました。
笠取山の西峰は、東峰より眺めが良く、富士山がを近くに見る大展望でした。富士山をバックにした、山梨百名山の標識の風景が映えました。
どの山がどれかまで確認しなかったですが、山梨県の山々が連なっており、素晴らしい眺めでした。
この後下山時に続々と登山者が登ってくるのを見かけましたが、この眺めであれば人気が出るのも納得です。
下の写真は笠取山山頂付近から、笠取小屋方面の下山道を撮ったものです。ずっと遠くまで連なる山々を背景にした風景が気に入りました。
摩川、荒川、富士川の分水嶺(降雨の分かれ道)の石碑がありました。雨水はここでそれぞれの川の方へ別れて流れるそうですが、よくイメージが湧きません。。
とりあえずここからの眺めは非常に良かったです。
笠取小屋と反対方向ですが、雁峠も立ち寄りましたが、ここも絶景でした。谷間のような地形となっており、開放的な雰囲気で気持ち良かったです。
それから笠取小屋を経由して作場平へ下山しました。笠取小屋は冬ですが営業しており、毎年正月まで営業するようです。
作場平へ下るルートは2つありましたが、沢沿いのルートを歩きました。登山者が多いためか、よく整備されていて歩きやすかったです。
まとめ
奥秩父の将監小屋にテント泊して、奥秩父名峰の和名倉山と笠取山に登った様子を紹介しました。いずれの山も奥秩父らしさを大いに感じられる山で、登った甲斐がありました。
奥秩父独特の景観は、北アルプスのような分かりやすい景色とはまた違った良さがあり、いつも有名な山ばかり登っている方に是非ともおすすめしたいです。普段の登山とは違った新たな視点を与えてくれると思います。