年末の厳冬期に北アルプス燕岳を登山
燕岳は北アルプスにある日本二百名山で、槍ヶ岳をはじめとする北アルプスの山々の眺めの良さ、アクセスの良さ、山頂近くにある人気の山小屋"燕山荘"など多彩な魅力があるため、多くの登山者が訪れます。
登山拠点となる山小屋の燕山荘と中房温泉はいずれも11月末に小屋閉めし、中房温泉への県道も車両通行止めとなります。しかしその後、クリスマスの時期から年明けまでは期間限定で営業するため、それらを利用して年末年始は燕岳の登山を楽しめるのです。
県道が車両通行止めなので、その区間は歩いてアクセスする必要がありますが、厳冬期にも関わらず年末年始は燕岳に多くの登山者が訪れます。
登山者が多いため、雪のトレースがしっかりしており、安全に登山することができます。厳冬期の北アルプス登山という貴重な体験を、安全に楽しむことができる年末年始の燕岳は、是非とも訪れたいものです。
年末に中房温泉テント場1泊で燕岳登山した
私は2024年12月29日から中房温泉テント場に1泊し、翌日に燕岳を登山してきました。初日に中房温泉まで行き、翌日は燕岳をピストン登山した後、宮城ゲートまで下山しました。
2024年の年末年始は9連休でしたが、事前に天気予報とにらめっこし、晴れる日を狙いました。なかなか晴れる日がなく、日程決めは大変でした。冬の北アルプスの天気は非常に重要で、吹雪の中歩きたくありませんでした。
本記事では、真冬でも非常に快適にテント泊を楽しめた中房温泉テント場の様子、寒い中燕岳登山した様子を紹介したいと思います。
燕岳のアクセス方法
燕岳は長野県安曇野市にあり、夏の時期に車で行く場合は、登山口となる中房温泉や有明荘の近くにある登山者用駐車場(第一から第三まであり)へ向かうことになります。最寄りの高速道路ICは安曇野ICです。
また、JR穂高駅などからバスで行くこともできます。
冬期は長い車道歩きが必要
夏の時期は、上記のように中房温泉まで車でアクセスできますが、冬期の場合はそうはいきません。県道が積雪で閉鎖となるため、宮城ゲートから中房温泉まで約13kmの車道歩きが必要なのです。標準コースタイムは上りで約5時間です。
宮城ゲートへのアクセス方法は、車で行く場合は下の地図の有明山神社近くに登山者用駐車場に停めます(70台)。
70台収容の駐車場はあまり広くないものの、冬期はそんなに登山者いないだろうと思っていましたが、私が現地に到着した2024/12/29の9時半頃はすでに満車でした。。困ってあたりを探したところ、そこから少し上がったところの、より登山口に近いところに大きな臨時駐車スペースがあったので、そこに停めさせてもらいました。
ちなみに、有明神社登山者駐車場の空き情報は以下のサイトから可能です。私が現地へ向かう途中で確認したとき、すでに満車表示だったので、登山自体を半ばあきらめモードでした。。なんとか臨時駐車スペースがあって良かったです。
mt-parking-info.azumino-e-tabi.net
宮城ゲートから中房温泉までの13kmの車道歩きの様子
宮城ゲートから中房温泉までの13kmの車道はスタートから雪があり、少しずつ標高を上げて行くので、だんだんと雪が深くなります。事前情報ではチェーンスパイクがあった方が良いとのことで持参していましたが、私は最後まで使いませんでした。滑りやすい箇所はありますが、傾斜があまりないので、踏みとどまることができました。3割くらいの登山者がアイゼンかチェーンスパイクを履いている感じでした。
この車道歩きですが、ひたすら変わらない景色の中歩くので、かなり飽きます。。行きはまだ体力あって良かったのですが、帰りは燕岳下山後そのままここを歩いたので、疲れた体には苦行でした・・。
特に中房温泉手前の坂は割と斜度がきつく、疲れた体に堪えました。
中房温泉にようやく到着しました。この頃には雪が結構が降っていました。ここでテント泊の受付を行いました。
宿泊者へ、下の写真のせんべいとアミノ酸のプロモーションサンプルを配っていましたが、テント泊の私にもくれました。
中房温泉テント場で快適キャンプ
中房温泉テント場は、燕岳登山口前の空きスペースとなります。夏期はバス停もある場所で、便利な場所です。中房温泉の建物はこの場所から約300mほど奥まった場所にあります。
中房温泉テント場(冬期)の基本情報
2024の年末年始の中房温泉テント場基本情報は以下です。
- 料金:1泊1人2,500円(2024年12月現在、入浴料金込み)
- 開設期間:2024年12月24日~2025年1月4日
- 張数:20張
- 予約の要否:不要(Webページから可能だったので、私は予約しましたが、当日はまだ空きスペースがたくさんありました)
- docomo電波:良好
年末年始のテント泊プランは料金高めかなと思いましたが、温泉の入浴料込みなので、逆に安いと思いました。
トイレ
トイレはテント場のすぐそばにあって便利でした。下の写真の建物の裏側に、夏期用と別に、冬期用のトイレが用意されていました。
ただ上の建物のトイレは電気もなくて狭いので、宿の方へ少し歩いたところにある下の写真のトイレが広くて暖かく、快適でした。
水場
水場は宿の目の前にある蛇口から出しっぱなしとなっていました。
私はテント場近くを流れる中房川で汲んだ水も利用しましたが、特に問題なく飲めました。
温泉の地熱で真冬でも寒くないテント場
中房温泉のテント場は、温泉地だけあって、地面のところどころで湯気が上がっており、その周囲は地熱で地面が暖かくなっています。
下の写真のように、ロープで囲われたエリアから湯気出ており、その近くの地面は生暖かくなっているため、雪が積もっていないのが分かると思います。熱いというほどではなく、生暖かいため、床暖房のイメージで、冬でも非常に快適にテント泊を楽しめます。
私も地熱のある場所を選びテントを張りました。冬のテント場でこれまで何度も泊まっていますが、とにかく地面が冷たいのですが、この暖かさは素晴らしかったです。真冬にこんな快適なテント泊ができるとは、なんとも贅沢でした。
冬のテント泊では夜中寒くて目が覚めることが多いですが、ここではぐっすり快適に眠ることができました。
夕食はレトルトパスタ、朝食は棒ラーメンを食べました。冬のテント泊は朝がつらいですが、地熱のお陰でスッキリ目覚めて朝食の準備ができました。
温泉が最高だった
年末年始の中房温泉テント泊には入浴料も込みとなっており、贅沢にも温泉へ入ることができました。
中房温泉は浴場がいくつもあっていろいろ楽しめるのが特長で、この日は時間帯を分けて2種類楽しめるとのことでした。
私は下の写真の温泉(大湯)に入りました。ラッキーなことに貸切状態で、思う存分楽しむことができました。熱めでぬるぬるなお湯が気持ちよく、長居してしまいました。登山中の宿泊時に温泉に入ることができるのは、非常に贅沢感を味わうことができ、気分を盛り上げてくれました。
脱衣所には鍵付きのロッカーもあり、安心でした。また、浴室にはシャンプーとボディーソープもあり、汗を流すことができました。
中房温泉から燕岳を日帰り登山
テント泊の翌日は、燕岳へ日帰り登山をした後、テントを撤収して宮城ゲートへ下山したのですが、燕岳登山の様子を以下に紹介したいと思います。
燕岳のコースタイムは、中房温泉から往復約8時間ですが、雪山だと夏よりも多く時間を要します。当日中に登頂して下山後テント撤収することを考えると、早めに出発する必要あるため、私は暗い中、テントを朝5時ごろに出発しました。
期待通りに、前日までの登山者のトレースがばっちりあったため、ヘッドライトによる登山でも迷うことはありませんでした。
アイゼンだけでなくワカンも持って行きましたが、最初からアイゼンを履いて出発しました。レースがしっかりしていたので、結局最後までアイゼンを履きっぱなしで、ワカンの出番はありませんでした。
朝6時を過ぎたころ、日の出が始まりました。天気がよさそうで、山頂からの眺望が期待できました。
しばらく歩き、合戦小屋に到着しました。ここから燕山荘まで約1時間ですが、ここからの登りが結構きつかったです。
合戦小屋あたりまでは天気よかったのですが、登るにつれてだんだん雲行きが怪しくなってきました。。快晴を期待していましたが、冬の北アルプスではなかなか難しいです。。
雪が深く風も強いため、トレースが薄くなってきますが、燕山荘のスタッフが一定間隔で赤色の旗を目印として立ててくれているため、道に迷うことはありませんでした。トレースから少しでも外れると、ずぼっと足が雪に埋まってしまうので、注意が必要です。
山頂方面が見えてきましたが、それにつれて風も強くなり、気温も下がってきました。このとき化繊の手袋2枚重ねで、ウィンドストッパーの手袋をつけていなかったのですが、そのせいで手の感覚がマヒするくらいになってしまいました・・。面倒がらずに最初から3枚重ねで防備しておけばと後悔しました。
寒さに耐えながらなんとか燕山荘に到着し、ここでマヒした手の感覚を取り戻しました。
雲が多めですが、燕山荘からすでに槍ヶ岳方面や鷲羽岳などの裏銀座方面が綺麗に見えました。雪をまとった北アルプスは素晴らしい絶景です。
強風の中、燕山荘から燕岳山頂方面へ向かいました。
登山道から後方へ振り返ると、槍ヶ岳山頂の素晴らしい光景が見えて、感動しました。
途中イルカ岩を見ながら寒い中歩いて行くと、燕岳山頂が間近に見えてきました。北アルプスの雪山ですが、特に急傾斜やきつい岩場もなく容易に山頂まで行くことができました。
山頂から360度の大展望を楽しみたいところですが、残念ながら、薄雲に覆われて眺望はありませんでした。。まあ道中で槍ヶ岳など綺麗な景色を見れたので問題ありません。
山頂から燕山荘を経由し、中房温泉まで下山しました。下山は早かったです。
途中、年末年始登山のため、多くの登山者とすれ違いました。真冬なのに多くの登山者がいたことに驚きでした。
中房温泉テント場へ戻ってくると地熱スポットの近くで、猿が日向ぼっこしていたのが、ほほえましかったです。
それからテントを撤収し、重い荷物を背負って宮城ゲートまで約13kmをひたすら歩いたのですが、これが疲れた体になかなかきつかったです・・。
この日は12/30で、年末年始を燕山荘や中房温泉で迎えるために登っていく登山者ともたくさんすれ違いました。やはり人気ルートで小屋営業となると、厳冬期でも多くの登山者が訪れるものですね。
無事に15時半ごろ宮城ゲートに到着し、車で帰宅しました。
まとめ
年末に中房温泉の温泉付きテント泊プランで、地熱の快適キャンプを楽しみ、厳冬期燕岳の雪山登山を楽しんだ様子を紹介しました。
年末年始に営業する中房温泉と燕山荘を利用した、真冬の北アルプス登山の体験は貴重で、私も以前から、いつか行こうと思っててようやく思い立って行くことができました。装備や体力、ある程度の経験が必要なものの、登山好きな方には是非おすすめしたいコースです。